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ニューヨークからの手紙 −7− ジョンとナンシーの結婚<上>
“最悪の第一印象だった元彼” 今年の6月、私の友人ジョンが結婚した。彼は今年41歳、初婚である。相手はナンシー。彼女も41歳で初婚。最近アメリカでも晩婚の男女が多いので、さほど珍しい話ではない。しかし、彼らの結婚のきっかけをつくったのがいまだ独身の私、加納洋だったから驚きである。 ジョンは不動産屋に勤める、まじめではあるが、あまり魅力があるとは言えない男である。結婚願望はあったが、なかなか彼女はできなかった。まわりの友人が女性を紹介するのだが、いつも先方から断られていた。 ナンシーはケンタッキー州アシュランドという南部の田舎町の出身で、私が彼女にはじめて会ったのは2年前のこと。その時からこの結婚ストーリーが始まったのであります。 2年前の8月。ニューヨークでプロ歌手をしているリサと私はアシュランドに1週間の演奏旅行へ行った。彼女もアシュランドの出身である。私は彼女にピアノを弾いてほしいと頼まれ、一緒に行くことになった。 滞在中はジャズクラブや学校、教会、ホテルのディナーショーなど毎日仕事が続いた。その仕事場にリサの幼なじみナンシーが何度か演奏を聞きに来た。 1週間の仕事が終わり、ニューヨークに戻る前日、リサの実家でパーティーがあった。ナンシーもそのパーティーに出席した。 その時、ナンシーが私に「明日、私もあなたたちと一緒にニューヨークへ行きます」と言う。理由をたずねると、半年ほど前に付き合っていた実業家の彼が「よりを戻したい。ついては話がしたいので、ニューヨークに招待する」と言ってきたそうだ。 でもナンシーはあまり気乗りしないようである。「彼に会いたくないのなら、行かなきゃいいのに」と言うと、「ええ…」とはっきりしない返事が返ってきた。彼を逃すとあとがないとでも思っているのか、まぁ女心というものは理解しがたいものである。 ナンシーは今までアシュランドの街以外で暮らしたこともなく、40歳とは思えないほど純粋。悪くいうと世間知らずという感じの女性である。とても実業家の奥さんというイメージとは言えない。 結局、翌日ナンシーは私たちと一緒にニューヨークへ行くことになった。ニューヨークに向かう飛行機の中で、ナンシーが「彼と会う時、あなたたちも一緒にきてほしい」と言った。私は6時にジョンのバースデーパティーに行く約束があった。ナンシーが実業家の彼と会うのは5時。パーティーに行く前に、一度自宅に帰ろう思っていた私にはナンシーに付き合う時間はなかったが、女性に頼まれると断れないのが私、加納洋であります。結局3人揃ってその実業家に会うことになった。 ニューヨークのラガーディア空港に着くと、彼が高級リムジンで迎えに来ていた。リムジンに乗り込んだ私たちはセントラルパークの東側にある高級ホテルに向かった。ホテルに着くと静かなラウンジバーに案内された。飲み物を注文し、自己紹介が始まった。といっても実業家の彼、ブルースの自慢話が15分ほど続いた。会社を経営し、大企業のコンサルタントもやり、5カ国語を話し、政界や実業界、芸能界にも友人がおおぜいいるという。 私はブルースのような人間が大嫌いである。社会的地位などで自分を大きく見せようとするのは最低の人間である。まぁ、そんな人間は自分に自信がないから社会的地位などで相手を威圧するのであろう。ブルースの第一印象は私にとって最悪と言えるものであった。(つづく) (毎日新聞社点字毎日2003年7月24日掲載。禁無断転載) |