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点字ジャーナル97年1月号より
ミュージックサロン 天才ピアニストの問わず語り 4


女性ミュージシャンの結婚事情    


以前、僕の友人でハングリーミュージシャンの男性が結婚に悩んでいるという話を本誌で紹介したことがありましたが、今回は女性ミュージシャンにまつわる話をご紹介します。

まず1人目はジェニファー39歳。彼女はいままで3度結婚している、ちょっと強気な、しかも美人ではない歌手である。彼女の最初の結婚は19歳のとき。アメリカ南部の田舎で育った彼女は、女性は早く結婚して男性に尽くすのが幸せだと思っていた。ところが最初のだんなは、ギャンブル好きのとんでもないアルコール男。幸せな結婚は2年も続かなかった。

2度目は25歳の時。今度の相手はニューヨークのエリートビジネスマン。しかし、このだんなは仕事中心の家庭を振り返らないワーカホリック(仕事中毒男)。結婚当初は彼女も仕事を持っていたので、それほど気にならなかったが、5、6年の結婚生活で、お金の心配こそなかったものの、気持ちがどんどん離れていき、これも離婚。

3度目は35歳のときで、現在のだんなである。彼は有名音楽大学の修士課程も出ているのに、歯医者になったという変わり種。しかし、ハングリーミュージシャンとも気軽に付き合うナイスガイである。ニューヨークの郊外に広い土地とプール付きの別荘を持ち、現在とても幸せそうに暮らしている。

2人目はリンダ。36歳。昔から彼女が付き合う男性は、億万長者ばかりだが、最近は10年前から付き合っていた彼とは別れた。僕もいいチャンスだと思い、彼女にアタックしようと思ったが、億万長者じゃない僕に、チャンスもあろうはずがない。この10年間、彼とは3度結婚しようと思い(どれも彼女のほうからせまった)、結婚式の日取りまで決めるのだが、当日になると彼の体の具合が悪くなり、中止になった。医者に言わせると、精神的なものだという。2度目はあまりおおっぴらに豪華な結婚式はしないで、身内だけの式を企画し、彼にプレッシャーを与えないように心がけたが、また当日になると、彼は病院に担ぎ込まれてしまった。

3度目はラスベガスに行き、2人だけで結婚することにした。ラスベガスでは車に乗ったまま判事の前で誓い、書類にサインするだけで結婚ができてしまう。今度こそだいじょうぶだと思っていたが、ラスベガスのホテルに着いたとたんに、彼が具合を悪くしてしまった。彼女は彼の体を心配して、いつまでも待とうと思った。しかし、10年という時が過ぎてしまった。

周りの友人に言わせれば、彼は大金持ちで、女性は選り取りみどりだが、大金持ちやビジネス関係のパーティに行くときは、モデルのような彼女を連れて行くことで、周りに対して優越感に浸れる。それだけのために彼女と付き合っているという。確かに周りの意見は正しかった。リンダと別れた彼は、20代の若い美女とすぐに付き合い始めた。

大変なのはリンダである。手切れ金を彼から1万5千ドルもらったそうだが、10年間も贅沢な暮らしをして、ブランクのある彼女に、現在仕事はほとんどない。ちょっとモデルの仕事をしたくらいでは、とても生活していけっこない。今彼女に近づいてくるのは、金のない男ばかりである。でも、いまだに彼女は、僕のような金がなくてもすばらしい男性に見向きもしないで、金持ちの集まる場所に、前の男にもらった毛皮のコートを着、高いドレスや宝石で着飾って出かけていく。いつまで続くかが興味のあるところである。

3人目はジャネット40歳。バイオリニスト。真面目な可愛らしい女性である。彼女は性格がおとなしいせいもあって、男性を自分から選ぶことがないようで、男性に積極的に口説かれると、すぐに落ちるタイプ。周りにはもっと男を選べと言われ続て、早20年。付き合う男(何人かは不明)はすべてプレイボーイ。それも、彼女は付き合ってから何年もわからなかったことが何度もあるそうである。

今ではすっかり男性不信で、僕のような真面目な男を捕まえて、“洋って女癖が悪いんでしょ”という始末である。なんて男を見る眼がないかわいそうな女性であろうか。でも、彼女の過去の経験を知ると、しかたないとも思える。

この3人を見ていると、気の強い、美人でもない2度も離婚しているジェニファーが、自分の経験を生かし、いい男を手に入れ、幸せに暮らしているように見える。しかし彼女は、離婚慣れしているから、いまだにだんなとけんかすると、離婚騒動になるという。

こんな女性ばかりを見ている私、加納洋が、いまだに独身でいることもわかるような気がしませんか。

(了)


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